万博記念公園

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ベトナム共和国館

参加者

ベトナム共和国

テーマ

自由世界の諸国との調和を保つベトナム共和国の過去と現在と未来の発展

建物

 南北に長い展示館で、朱色に塗られた三つの低い寄せ棟の屋根をもち、両側の屋根の中心部には小さな先塔を立て、軒まわりは幅の広い化粧ひさしで飾っていた。建物の外観にはこの国の伝統的な装飾、木組みがめだったが、なかでも西側中央の玄関前に建てられた朱色の門構えは、この展示館の特色であった。
 この門は鉄骨造で、入母屋(いりもや)の屋根を支える朱色に塗られた門の主柱 2 本と、その両側に 5 本ずつの添え柱が立てられ、その間を竜、キリン、カメ、ホウオウなどの彫刻でつないでいた。主柱の間隔は 6メートル、高さ 12 メートル、柱間上部には黄色地に「ⅤIET‐NAM」と朱文字で大書され、その上には竜の頭部の彫刻がついていた。また、門構えの両側には、直径 1 メートル58、高さ2 メートルの大香炉が 1 基ずつ置かれていた。
 構造は鉄骨造で、外壁は化粧木造ブロックを使用、ベトナム風のデザインを施した床はビニールアスベストス・タイル仕上げ、通路はじゅうたん敷き、内壁は化粧ベニヤ板張りで、天井は木毛セメント板を化粧ベニヤで覆っていた。門をくぐり、4 段の階段を上がると展示館の入口で、その上には円形、金色の国章が輝き、内部は右回りに観覧するようになっていた。

展示

 入口を入ってすぐのところには漆塗りの工芸品の数々が展示され、なかでも縦60 センチメートル、横1 メートル 20 ほどのすわり机は、牛に乗った貴人の山水画ふうの絵が豪華な螺鈿(らでん)で描かれていた。ほかに、香箱、つぼ、花びん、ミン・マン皇帝が愛用したというつい立て、青貝を埋め、漢詩を刻んだウルシ塗りの水たばこのパイプ入れ、竜、トラ、カメ、ツルが描かれた小びょうぶなどが並んでいた。
 中央部の雲形展示台には陶磁器のほかに、アオザイ姿の風俗人形、袋物、ゾウゲ細工などの手工芸品が展示されていた。とりわけ目立ったのがゾウゲの「天人船」で、船上の人の姿までが細かいすかし彫りになっていた。続いて歴史的な鋳造美術品、楽器が並び、1 弦琴から3 弦、16 弦といった珍しい民族楽器や、中国伝来の胡弓(こきゅう)、琵琶(びわ)などもあった。
 次は写真パネルでこの国が直面している諸問題が説明され、続いてかんがい計画とダニム・ダム水力発電所の模型が展示されていた。さらに穀物の粒で描かれた絵による農業の展示、モリブデン、鉄、雲母などのサンプルによる鉱業の展示、カラーコルトンによる資源の展示があり、それぞれ実情が紹介された。
 最後の展示は、ビンディンの水資源開発や都市計画の模型展示で、西壁面には毛布、織物、セメント、ガラスなど各工場の写真パネルが展示され、その生産高が図表によって説明された。なお、ベトナム共和国館のホステスは優美なアオザイ姿で観客に応接していた。

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